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能登の寒ぶり
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最近よくテレビなどで話題に取り上げられている、冬ならではのもの、 それが特に北陸の能登半島あたりだと、やはり「寒ぶり」でしょうか?
「能登の寒ぶり」とは、11月頃に北海道沿岸から南下をはじめる、 主に富山湾で漁獲されたものがそのように呼ばれます。 雪の積もり、雷が鳴る時期になると、たくさんの餌を食べて脂がのった、 しかも、まるまる太った極上の天然ぶりが水揚げされるのです。 最も美味しい時期は、12月上旬から1月中旬頃に水揚げされる寒ぶりで、 その味は本当に忘れられないものです。 鰤は魚へんに師と書きますが、漢字の旧暦の師走に最高の味になるところ からきているのだとか。
「能登の寒ぶり」は、その味の良さから、藩主へ「御用鰤」として献上され、 藩主への献上が終わってから一般に販売するのが常とされていたそうです。
能登半島の内浦、富山湾に臨む26kmにも及ぶ海岸線は、 日本三大定置網漁場として知られています。
関西では『歳とり魚』と呼んで、寒鰤は新巻以上に人気がありましたが、 能登鰤はひと昔前までは『一斗鰤』と呼ばれて、 鰤一尾と米一斗の値段が同じだったそうです。
能登鰤は人の背中に背負われて信州に到着すると何故か『飛騨鰤』に変わり 『一斗鰤』から『一俵鰤』に昇格します。 今でも一尾のプライスが米一俵とほぼ同じだそうです。
九州では嫁鰤と言って、結婚した年の暮れ、嫁ぎ先の両親からお嫁さんの 実家に鰤を送る習慣があり、富山県にもそのような風習があるのですが、 こちらはお嫁さんの方が嫁ぎ先に鰤を贈るのです。 そして鰤の半身を渡すのがお返しとしての昔からの習慣だそうです。
(2011.02.06) |
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