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2012年09月のバックナンバー記事

10月の奈良公園〜鹿の角きり
皆さん、こんにちは。
早いもので間もなく10月ですね。
毎年10月といえば奈良では恒例の鹿の角きりが行われ、
関西出身ガイドの私は、この行事の頃になると秋を感じます。
でも、ちょうどこの時期に奈良公園へ行かない限り、
なかなか実際にご覧になられた方は少ないかと思いますが、
この「鹿の角きり」は、春日大社参道横にある鹿苑(ろくえん)という所で、
まるで闘牛スタジアムのような感じで行われます。
鹿を背後から追って、追われた鹿を捕らえて角を切るのですが、
この役目をするのがハッピを着た勢子(せこ)と呼ばれる方々です。
この角きりの為、普段から体力づくりに励む勢子さんもいらっしゃるとか。
最年長の勢子さんは今年で70才だそうです。

角きりは1日約15頭〜20頭、3日間では約50頭の角が切られます。
ただ、一日中行っている訳ではなく、一日に3度、時間を決めて角きりが行われます。

スタートすると、何頭かの鹿が解き放たれるのですが、
最初は何事か、ととても怯えています。
その鹿の背後から勢子が鹿を走らせて追います。
これも、大変なコツが要るそうですよ。
真っ直ぐ走らせた方が良いとか、速さとかですね。
その後、待ち受けた別の勢子が十字という昔ながらの投げ縄を使って
鹿の角に引っ掛けるのです。
この時の鹿は闘牛のごとく「暴れ鹿」になっているので、
大変危険を伴う作業になりますが、十字が一旦、鹿の角に掛かると、
綱を近くにある太い柱のようなものにグルグルと巻きつけて
ジリジリと鹿を近づけ、最後に数人の勢子が鹿をはがいじめにします。
こうしたプロの連携プレーがあって、
やっと鹿が捕らえられ、落ち着かせる為に水を飲ませてから、いよいよ角きりです。
切り取った角は会場の外で販売されます。

ところで、オスの鹿は奈良公園におよそ300頭いるのですが、
角きり行事では約50頭ほど。残りの鹿はどうするのか、
鹿の角というのは、春にニョキニョキと芽が出るように
生えてくるのですが、夏の頃までは、「袋角」といって
まだ血が通っているので、ケンカに使ったりしません。
ところが秋口になると、角が角質化してきて、オス鹿自身も、
木の幹などでギコギコと砥ぎ始め、硬く、鋭くなったら
オス鹿同士のケンカが始まるので、安全のため、
奈良公園にいる鹿の角きりをするのです。
ちなみに角は切らずにそのままにしておいた場合、
時期がくればポロリと抜け落ちます。

この「角きり」は1671年から行われていまして、
途中、戦争などで一時中断もしましたが、
また再開されて現在に至っています。

もし、10月初旬に奈良公園を訪ねることがありましたら
鹿の角、チェックしてみて下さいね。
切られたばかりの角、もしくは切られる直前の角を
見ることが出来て、お客様にも新しい発見となりますよ。
(2012.09.25)

 
 
   
 
 
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