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10月の奈良公園〜鹿の角きり
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皆さん、こんにちは。 早いもので間もなく10月ですね。 毎年10月といえば奈良では恒例の鹿の角きりが行われ、 関西出身ガイドの私は、この行事の頃になると秋を感じます。 でも、ちょうどこの時期に奈良公園へ行かない限り、 なかなか実際にご覧になられた方は少ないかと思いますが、 この「鹿の角きり」は、春日大社参道横にある鹿苑(ろくえん)という所で、 まるで闘牛スタジアムのような感じで行われます。 鹿を背後から追って、追われた鹿を捕らえて角を切るのですが、 この役目をするのがハッピを着た勢子(せこ)と呼ばれる方々です。 この角きりの為、普段から体力づくりに励む勢子さんもいらっしゃるとか。 最年長の勢子さんは今年で70才だそうです。
角きりは1日約15頭〜20頭、3日間では約50頭の角が切られます。 ただ、一日中行っている訳ではなく、一日に3度、時間を決めて角きりが行われます。
スタートすると、何頭かの鹿が解き放たれるのですが、 最初は何事か、ととても怯えています。 その鹿の背後から勢子が鹿を走らせて追います。 これも、大変なコツが要るそうですよ。 真っ直ぐ走らせた方が良いとか、速さとかですね。 その後、待ち受けた別の勢子が十字という昔ながらの投げ縄を使って 鹿の角に引っ掛けるのです。 この時の鹿は闘牛のごとく「暴れ鹿」になっているので、 大変危険を伴う作業になりますが、十字が一旦、鹿の角に掛かると、 綱を近くにある太い柱のようなものにグルグルと巻きつけて ジリジリと鹿を近づけ、最後に数人の勢子が鹿をはがいじめにします。 こうしたプロの連携プレーがあって、 やっと鹿が捕らえられ、落ち着かせる為に水を飲ませてから、いよいよ角きりです。 切り取った角は会場の外で販売されます。
ところで、オスの鹿は奈良公園におよそ300頭いるのですが、 角きり行事では約50頭ほど。残りの鹿はどうするのか、 鹿の角というのは、春にニョキニョキと芽が出るように 生えてくるのですが、夏の頃までは、「袋角」といって まだ血が通っているので、ケンカに使ったりしません。 ところが秋口になると、角が角質化してきて、オス鹿自身も、 木の幹などでギコギコと砥ぎ始め、硬く、鋭くなったら オス鹿同士のケンカが始まるので、安全のため、 奈良公園にいる鹿の角きりをするのです。 ちなみに角は切らずにそのままにしておいた場合、 時期がくればポロリと抜け落ちます。
この「角きり」は1671年から行われていまして、 途中、戦争などで一時中断もしましたが、 また再開されて現在に至っています。
もし、10月初旬に奈良公園を訪ねることがありましたら 鹿の角、チェックしてみて下さいね。 切られたばかりの角、もしくは切られる直前の角を 見ることが出来て、お客様にも新しい発見となりますよ。
(2012.09.25) |
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