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2012年12月のバックナンバー記事

道成寺の安珍清姫伝説について
皆さん、こんにちは。
寒い日が続いております。
今回は、南紀一周のお仕事に行く時、高い確率でコースに入っている道成寺の伝説についてお話しましょう。

私がバスの中でお寺に到着する前にご案内していた、
そのままを文章にして記載しますね。

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これからご案内させて頂きます道成寺は、
大宝元年(701年)に創建されました古いお寺です。
また、この「道成寺」は、天台宗の和歌山県最古のお寺でもあり、
皆様ご存知と思いますが、安珍・清姫の伝説であまりに有名です。

今から約1,200年前のこと、安珍(あんちん)という名のお坊さんが、紀州の熊野大社へ
お参りする途中のこと、日が暮れてしまったので、宿を探して歩いていました。
「どこか近くに宿はないものか・・」
 しばらく歩くと1件の庄屋がありましたので、頼んで泊めてもらう事になりました。

この庄屋には清姫という一人娘がおり、長旅で疲れた安珍を優しくもてなしましたが、
その内に安珍と清姫はお互いに惹かれ合うようになります。
しかし、安珍はまだ僧侶としての修行の身、女性に心を奪われる事は許されません。
でも安珍は清姫に「熊野からの帰り道、私は必ずあなたに会いに来ます。」
と固い約束を、つい、してしまったのです。

その後、安珍は熊野大社で修行をするのですが、
仲間の僧侶たちに心の迷いを見抜かれ、厳しく諭されたこともあり、
帰り道は清姫に会わないことを決意し、来た時と違う道を通って
帰ることにしました。

一方、清姫はそんな事は知らず、一日千秋の思いとでもいいましょうか、
指折り数えて安珍が帰ってくるのを待ちわびていました。
しかし、何日経っても安珍は姿を見せないのです。
清姫はとうとう待ちきれず、道すがらの旅人に
「あの、もしや安珍とおっしゃる若いお坊様にお会いになられませんでしたか?」
と声をかけてみました。
すると「あ〜、あの方なら・・・おそらく別の道で帰られたはずじゃが・・。」
清姫は驚きました。
「あんなに固い約束をしたのに、あろうことか、まさか別の道で?」
清姫はたまらず走り出しました。
走っている内に安珍への憎しみは増し、気が狂いそうになります。
走って走り続けると、とうとう日高川のたもとまで来ましたが、
目をやると、渡し場に安珍の姿が見えるではありませんか!
「安珍様〜!」叫びながら清姫は安珍の元へ急ぎます。

その声に安珍も気づくのですが、清姫が走ってくる形相に恐れを感じ、
「船頭さん、船を早く!は、早く!」
「安珍様〜! どうして逃げるのですか、安珍様〜」

清姫は逃げていこうとする安珍に驚き悲しみ、
その思いはついに激しい憎しみへと変わり、とうとう安珍を追って
日高川に飛び込むや否や、何と恐ろしい大蛇の姿になって
川を渡っていったのです。

一方、安珍は川岸に着き、急いで船を下りると
夢中で走り出しますが、大蛇は勢いを増して追いかけてきます。
その内、安珍は街道のそばにある「道成寺」というお寺を見つけ、
ここに逃げ込むと、「お助け下さい、大蛇に追われているのです!」
と必死で頼み込みました。
同じお坊さんという事もあり、道成寺の住職は「こちらへ来なさい」と
お寺の釣鐘をおろして、その中に安珍に隠れさせました。

大蛇と化した清姫は道成寺の石段を登り、山門をくぐって
あちこちと安珍を探し続け、ついに安珍が隠れている釣鐘を見つけました。
そして釣鐘の上からグルグルとトグロを巻いたかと思うと、
一気に口から激しい炎を吐き、釣鐘もろとも焼き尽くしてしまったのです。

これからご案内いたします道成寺には、「安珍塚」といって
清姫が大蛇となって釣鐘ごと焼き尽くしたといわれる場所と「鐘巻の跡」と
書かれた石碑がございます。

あ、そうそう、焼き尽くされてしまった釣鐘ですが、
その後、2代目のものが作られました。
しかし、どうも音が良くなく、付近で疫病が流行ったりしたので、
山中に捨てられてしまいました。
以後ずっと、このお寺には釣鐘がありません。

ちなみに、それから約200年後、豊臣秀吉による根来攻めが行われた際、
安珍清姫の話を聞いた秀吉の家臣仙石秀久が山中でこの鐘を見つけ、
そのまま京都へ鐘を持ち帰って、
清姫の怨念を解くため、妙満寺というお寺に鐘を納めましたので、
今もこの釣鐘は妙満寺にあります。
よく、道成寺を演じる役者さんは、舞台の前に妙満寺を訪ねて
精進を祈られるそうです。
(2012.12.25)

 
 
   
 
 
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