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2013年01月のバックナンバー記事

毎年秋、奈良の正倉院展によせて

皆さん、こんにちは。
まだ寒い日が続いていますが、春が待ち遠しいですね。
春になると、奈良や京都に訪れる機会も増えてきますが、
3月15日〜宮内庁が約100年ぶりの大修理を進めている、
正倉院が途中、一般公開されます。
通路から内部が見えるように扉が開けられるそうです。

正倉院、毎年秋に一般公開されていて、
その時期には、よく仕事でも訪れる機会が増えますね。
正倉院の説明は、なかなか難しいのですが、
私はとりあえず皆さんに4つだけは見てきてほしい、
と言って説明します。

昔、平安時代や奈良時代には、大きなお寺などには、
「正倉」という建物がありました。
数々の宝物や重要な物を納める「倉」で、
その倉が、2棟も3棟もたくさん集まっているものを「正倉院」と呼びました。
でも、時が経つにつれて、あちこちにあった「正倉」はなくなってしまい、
いつしか東大寺の「正倉」1棟だけが、当時のまま残りました。
これが、今の東大寺 正倉院です。

正倉院には、歴代の宝物、特に天皇の御遺愛品など
代表する宝物だけでも六百数十点が納められています。

この正倉院の建物は「校倉づくり」といって、
三角の形をした木材を積み重ねたような建築で、
高床式に造られています。

正倉院は、少し小高いところに建てられ、高床式であることが、
湿気を防ぎ、害虫を寄せ付けず、これまで千数百年の間、
幸運にも、宝物が守られてきました。
奈良時代のものというと、土の中から出てくる「出土品」が殆どですが、
当時のまま、箱などに納められて残ってきたところ、
しかもどういった所から伝わったのか、という由緒、
製作年代などが明らかな宝物が多いというのも
素晴らしい点ですね。

これから皆さんには、正倉院の中に入って、
数々の宝物を見て頂きますが、
本当にたくさんの宝物がある中で、
これだけはどうしても外せない、という宝物だけ
ご紹介しておきますね。

まず、「赤漆文欟木御厨子」せきしつぶんかんぼくのおんずし。
文欟木というのは、特に木目が美しいケヤキの事です。
それに、漆塗りが施されていて、扉は観音開きになっています。
高102cmの物入れなのですが、これは飛鳥時代の天武天皇の御遺愛品です。
1300年前の当時でも、古い様式だと感じたのではないかと
言われているので、どれだけ古いかわかりますね。

次に、「蘭奢待」らんじゃたい。
この「蘭奢待」という文字の中、よく見ると東大寺という漢字が
含まれているのがわかりますか?

「蘭奢待」主にベトナムやタイが原産の香木です。
炊くと良い香りがする、つまり「お香」です。
正倉院にある「蘭奢待」は長さ156cm、重さ11.6s、
これほど大きいものは大変珍しいそうです。
もっと珍しいのは、約1200年以上たった今でも香りが残っている事です。
そしてまた、調査したところ、約38ヶ所の切り取った跡があることが判明し、
その内、明治天皇が切り取られた跡、
興味深いのは、織田信長が切り取った跡があって紹介されていますので、
こちらもご覧になられて下さいね。
信長はその後、茶会を行いましたが、
千利休らを招いて、この蘭奢待を焚いたそうです。

それでは次に、
黄金瑠璃鈿背十二稜鏡(おう ごんるりでんはいのじゅうにりょうきょう)
わかりやすく言えば「鏡」です。
銀製の宝飾鏡で、背面が七宝で出来ていますが、
七宝で出来ているものは、正倉院でもこれ一つだけです。
他にもこういった宝飾鏡は多いのですが、
それらは銅製鏡です。
この時代に七宝が極めて少ないのは、まだ技術的に未熟な部分が多く、
七宝が進化していく過程を調査する上でも貴重な資料なのだそうです。

そして最後に、「絵」です。
紙に白土、粘土のようなものですね、これを塗って、
墨を使って、一人の女性が描かれています。
当時は、服の部分とか髪などに鳥の羽毛が貼られていたそうです。
その鳥は、日本のヤマドリの羽毛でした。
この絵が描かれたのは、「天平勝宝4年」、西暦だと752年、
この年は、東大寺の大仏様が完成した年でもあるのですが、
これほど古い頃の絵を、皆さん今日は初めて見ることが出来るので、
これも楽しみですね。

京都や奈良の説明は、お寺観光が続くと、
どうしても「またか」という事で、なかなか、お客様側も
説明を聞くのが大変ですが、とにかく、この4つのものは見て頂きたい、
とわかりやすく説明すると、聞いておこうかな?という雰囲気になります。
一般公開される秋がまた、楽しみですね。
(2013.01.25)

 
 
   
 
 
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