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2013年08月のバックナンバー記事

北山杉の磨き丸太
皆さん、こんにちは。
夏、真っ只中ですが、早くも秋のシーズンを控え、
各地の観光地はツアーの企画に大忙しのようですね。

ところで暑い夏、それでもどこかへ出かけたくなってしまう私です。
先日は、京都へ行きましたが、
暑さにも関わらず、嵐山などはもう、人、人という状態でした。

そんな京都にあっても、ゆっくり散策できるといえば、
やはりその代表は三尾(さんび)めぐりでも知られる北山あたりでしょうか。

ガイドの皆さんは、
仁和寺や竜安寺などに行く場合に通る道、「きぬかけの路」といいます。
この道は、衣笠山の山裾を回るように通っていて、かつて平安時代初期に宇多天皇が、
真夏に「雪景色が見たい」とおっしゃった時、この山に白い絹をかけて
雪に見立てたということにちなみ、「きぬかけの路」と名づけられています。

この道と通る時、特に金閣寺の方から行くと、仁和寺を過ぎたあたりで
高尾へ行く道分かれがあります。
三尾めぐりに行くときは、この道を行きます。

三尾めぐりとは、神護寺、西明寺、高山寺の3つのお寺があることから
三尾めぐりといいます。
高雄の神護寺、槇尾の西明寺、栂尾の高山寺と呼びます。
嵐山の山並みをほんの数キロほど北に入ったところにあって、
紅葉が美しいことであまりに有名なので、
その時期は訪れる人が最も多くなります。

というような高尾のことを説明しておいてから、
後でゆっくりとお話するもよし、(広沢池が近いのでここでは忙しくて話せない)

特にこの道すがらには植木屋さんが多いのですが、枝をすべて切り落とされた杉が
あったら、それは枝打ちされた北山杉です。

北山杉は、室町時代に千利休により完成された茶の湯文化を支える茶室、
数奇屋の建築用材として頻繁に用いられるようになりました。
例えば桂離宮や修学院離宮です。

川端康成の「古都」にも登場しましたね。

北山杉の磨丸太は杉の木の皮を剥いだ丸太のまま用いられるので、
フシがあったり、傷があっては美しい磨丸太になりません。

そこで、植えてから8〜10年後、枝を付け根から切り落とします。
これが枝打ちという作業です。
全体的におなじ太さのまっすぐな丸太になるために、
フシのない、木目の揃った美しい木材にするために行うのです。
これは、3〜4年ごとに繰り返されます。

こうして杉苗から丸太になるまで技打ちを繰り返し、
製品として出荷されるまで、なんと30年から40年の歳月が必要なのです。

そして、製品として出荷される前には、人の手によって
しっかりと磨かれるのですが、これによって磨き丸太と呼ばれています。

北山の菩提の滝でとれる砂を使って素手で磨きます。
菩提の滝は、10mほどの小さな滝ですが、この滝壺にきめの細かい、
軟質の砂が溜まります。
ちなみに菩提の滝は、水戸黄門のロケに使われたこともあります。

冬期にこの北山杉の里を訪れると、軒先に皮をむいた北山丸太が
並んでいる光景を見ることができます。

ガイドの皆さんも、機会がありましたら、
ぜひ、勉強がてらに訪ねてみられると良いと思います。
(2013.08.25)

 
 
   
 
 
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