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2015年01月のバックナンバー記事

冬こそ訪ねたい「合掌造り」
最近めっきり寒さが身にしみるようになりましたね。

冬になると、増えてくる仕事先が意外と寒い場所なんですよね〜
特に北陸、金沢や能登半島、北陸の冬は私たち観光者から見ると、
とても美しいけれど、厳しい冬を越すための生活の知恵を見るにつけ、
地元の方にとっては冬を越すことは生活そのものなんだなぁ・・と
感じることもできます。

さて、今回はそんな冬にちなんで、世界遺産にも指定されている
「合掌造り」についてお話させていただくことにしました。

白川郷や五箇山は私も仕事で何度も行きました。
でも、個人的にゆっくりと行ってみたい、そんな場所でもあります。
特に、白川郷・五箇山の集落にある合掌造り建築群は、
ユネスコの世界遺産(文化遺産)に登録されていますね。

「合掌造り」とは、角度の急な切妻屋根になっていて、
屋根の形が合掌した時の手の形に似ているところからその名がついたそうです。
その屋根の勾配は60度近くもあり、釘やカスガイを一本も打たず、
丸太を荒縄とネソで結んであります。
「ネソ」とは、学名をマンサクとも呼ばれる、柔軟性に富んだ木が使われます。
棟を形成する茅を縛るためにも用いられます。

二階、三階部分に窓のようなものがあるのですが、雪がかなり積もった時は、
この窓が出入口になります。
また、合掌造りの建物で最大の特色は、建物全体に囲炉裏の煙や熱が
行き渡るように工夫されていることです。
そして、熱と煙は上階へとゆっくり昇っていきます。
煙は最終的に屋根の最上層にある、煙出しから排出されますが、
万一の火災に備えて、2階には、「火見窓」という、火を監視する窓もあります。
こうした囲炉裏の煙で、萱が何と約30年以上も持つそうですが、
もし、囲炉裏に火を入れなくなると約20年ほどしか持たないそうです。

江戸時代の中頃、養蚕業が活発化してくると、屋根の上層を利用して、
養蚕の棚を設置するようになりましたが、養蚕棚を設置する場所をたくさん
確保するために、3層・4層という具合に屋根がさらに高く切り立ったと
考えられています。

茅葺屋根の葺き替えは、30年から40年に一度行われるますが、冬になると、
雪と一緒に茅が落ちてしまうことがあるので、その補修作業は年に1・2度行われます。
しかし、この補修作業は大変なので、
地域住民の共同作業で行われます。この仕組みは結(ゆい)と呼ばれています。
しかし、この作業には大変な費用がかかり、例えば茅葺き屋根の片側で
約1000万円の費用がかかるとか。
葺き替えに使用する茅の量は、茅の厚さとか、屋根の大きさによって異なりますが
約1万束が必要だといわれます。ちなみに、この量は4トン積みのトラック
約20台分に相当するそうです。
その費用は、1970年国の史跡に指定されて以来、国の補助でまかなわれています。

ところで、このように素晴らしい合掌造りの建物ですが、
ひとつ、弱い部分があります。それは「火事」です。

特に白川郷では、火災に備えて、55台の消火栓付き放水銃などの消火器具を
完備していて、毎年何回もの消防訓練が行われています。
それでも万一、火災が発生したときには、この消火栓が一斉に開かれて、
合掌集落全体が水に包み込まれるしくみになっいるのです。

私たちは、夏の風物詩といえば「花火」ですが、例え線香花火であっても禁止され、
観光客はもちろん、地元の子供たちでも、花火は禁止なのだそうです。
(2015.01.25)

 
 
   
 
 
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