|
伊勢神宮から二見へ行く間のお話
|
皆さん、こんにちは。日増しに秋も深まっていますが、秋に行ってみたい場所として 人気がある観光地は、京都や箱根、鳥取の大山など、やはり紅葉の美しいところのようですが、私にとって思い出深い紅葉は、伊勢神宮の内宮神苑です。 実はちょうど、これからの時期が見頃になります。 私たちは1年を通じて伊勢神宮には何度か訪れるわけですが、 中でも、この紅葉の時期というのは本当に素晴らしいものです。
ところで、今年も間もなく年末を迎え、お正月がやって参りますが、 伊勢神宮のある地方では、お正月の注連縄を一年中飾っておく珍しい風習があります。 さらに、お札には「蘇民将来子孫家門」と書かれています。
むかし、あるところに牛頭天王という人がいました。 ある日のこと、私もそろそろお嫁さんが欲しいなぁ〜と考えていると、 どこからともなくハトがやってきて、「竜宮へ行くといいよ」と教えてくれたのです。 そこで、さっそく竜宮へ出かけてみることにしました。
さて、伊勢のこの辺りまできた時、どこか泊まるところはないかと探していると、 ある家の前までやってきました。 そこは巨旦(ゴタン)という、この辺りでも一番お金持ちの家でしたが、 応対に出たゴタンは、牛頭天王のみすぼらしい身なりを見て、 「うちは貧しいから泊めることはできないよ!」と断りました。
牛頭天王は仕方なく、また歩き始めると、また一軒の家の前まで来ました。 よし、ここに頼んでみよう、と思い、訪ねてみると、 応対に出たのは蘇民(ソミン)という優しそうな人、すぐに家の中に招き入れ、 とても親切にもてなしてくれました。
牛頭天王は翌朝、泊めてくれたお礼に、宝物の「玉」を蘇民に渡しました。 それは、心やさしい人が持っているとお金がたまる玉でした。
その後、牛頭天王は無事に竜宮に着いてお嫁さんをもらい、 8人の皇子が生まれました。そして8年後、そろそろ国に帰ろう、と 再び伊勢のこの地で蘇民の家を訪ねたところ、 蘇民は立派なお屋敷の長者になっていました。 昔、牛頭天王を泊めなかった巨旦(ゴタン)は、うちへどうぞと 泊めようとしましたが、牛頭天王はもう一度、蘇民の家に泊まりました。
そして翌朝、これから蘇民の家門は代々、「蘇民将来子孫家門」と 書いた札を下げておくように、と言われ、この地をあとにしました。
この時の「蘇民将来子孫家門」と書かれた札がずっと今日まで伝わり、 蘇民の子孫であることがわかるように、軒先に一年中、注連縄と 札をかけておくようになったそうです。
--------------------- このお話は、伊勢神宮を出発すると、だいたい次の見学地として、 二見へ行くコースが多いため、その間にご案内するのが定番です。 二見までの時間も10分程度なので、ちょうど良いですね。
(2015.11.25) |
|