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くずの葉の伝説
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皆さん、こんにちは。 最近、ずいぶん暖かくなって参りました。 これから観光シーズンを迎えますね。 今日は、大阪の和泉市に伝わる伝説をご紹介します。 大阪から和歌山方面に向かう途中などで お話ができると思います。
昔むかし、今の大阪、阿倍野に安倍保名(あべのやすな)という人がおりました。 保名は、今現在の和泉市にある信太の森の神社によくお参りし、 どうぞ子宝に恵まれますように、といつもお願いごとをしていました。
ある日のこと、いつものようにお願いごとをしていますと、 狩人に追われてきたメスのキツネが現れたのです! そこで保名は、かわいそうに思ってキツネを助けてやりました。
その後、突然「くずの葉」と名乗る娘がやってきて、 毎日、一生懸命、保名の世話をしましたが、 このくずの葉こそ、あの時のキツネ、 そう、キツネは恩返しをするために保名の元へやってきたのでした。
そうする内、2人は仲の良い夫婦となり、 やがては童子(どうじ)という可愛い男の子も生まれました。
さて、ある日のこと、庭の菊が美しく咲いたので、 くずの葉は、そのあまりの美しさに見入っていたところ、 キツネの姿に戻ってしまい、それを息子の童子に見られてしまったのです。 キツネの正体を見られてしまったくずの葉は、 もうこれ以上、人間の世では暮らせない、と思い、
-------- 恋しくば、たずね来てみよ和泉なる 信太の森の うらみくずの葉 --------
という歌を残して立ち去ります。
保名と童子はその後、信太の森を訪れては、 くずの葉の姿を探しました。 すると、涙を流しながら向こうに佇む一匹のキツネを見つけたのです。 保名と童子が声をかけると、一瞬、そばの池に身を映したかと思うと、 人間の「くずの葉」の姿となり、私の形見だ、といって 白い玉を童子の手に渡し、再び、キツネの姿となり、 森の奥へ去っていきました。
後、童子は立派な大人に成長しましたが、 この童子こそ、あの有名な陰陽師、安倍晴明であると伝えられています。
大阪府和泉市には、くずの葉ゆかりの地が多くあり、 葛の葉稲荷、という神社もあります。
(2016.03.25) |
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