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2017年07月のバックナンバー記事

雪舟が描いた「天橋立図」のなぞ
皆さん、こんにちは。毎日暑い日が続いていますね、
こんなに暑いとやはり、水辺の観光地は大賑わいとなります。
私も以前は、夏になると宮津の海水浴場や、由良海岸によく出かけたものです。
天の橋立からも近いので、観光がてら、という方も多いはず。
さて、今回はその「天の橋立」についてひとつ。

皆さんは、雪舟という画家を当然、ご存知かと思いますが、
雪舟が描いた「天橋立図」はあまりにも有名です。
その絵は現在、国宝に指定され、京都国立博物館にあります。

私は、ガイドという仕事をするようになった頃、
毎日のように京都・奈良に行っている内に、お寺の襖絵や
美術品に興味を持ち初め、休日には、襖絵で有名なお寺や、
奈良の正倉院、京都文化博物館などへ足を運んでいました。

印象に残るものは数々あるのですが、
やはり「天橋立図」のいくつかの謎には心を奪われました。
雪舟といえば、晩年は島根県益田市にある東光寺という山寺で過ごし、
1506年頃、87歳くらいで生涯を終えたといいます。

まず、「天橋立図」がいつ描かれたのか?
ご存知の方もいらっしゃると思いますが、「天橋立図」は本絵でなく、
下絵であると考えられているのですが、
しかも、何十枚もの紙が貼り継がれています。
さらに、その紙はキレイに貼り合わせられておらず、
部分的につながっていなかったりしています。

その絵の中には、知恩寺の多宝塔、成相寺の境内、籠神社など、
とても詳細に描かれているのですが、
日本3文殊のひとつ、知恩寺の多宝塔は、1501年に完成しているので、
少なくともそれ以降に描かれたものだと言われています。
しかし、1501年というと、雪舟はおそらく80歳を超えているので、
本当に現地で描かれたものなのか、様々な説があり、
ひとつの謎として残っています。

また、多宝塔の近くに現在も残っていて、私も実際に見たことがありますが、
知恩寺の石仏、というよりお地蔵さんが2体、しかも小さくなく、
かなり大きな石地蔵でした。
が、これも「天橋立図」の中にきちんと描かれているので、
石地蔵を見た時は大変、驚いたものです。

そして、そもそも「天橋立図」は、どこから描いたのか?
これもひとつの謎となっているのですが、
連なる山々、成相寺の境内なども見下ろすが如く描かれていて、
ヘリコプターにでも乗って描かなければ、考えられない視点です。
ただ、粟田峠というところに、一箇所だけ、
天橋立図と構図が似ている場所があり、雪舟観と呼ばれていますが、
実際には、もっと高い視点から描かれているように見えます。

他に、遠近の謎など、天橋立図にはいくつかの謎があり、
絵を見れば見るほど、不思議に思います。
私はいつも、バスのテレビに自分で描いた天の橋立周辺の地図を
貼って、粟田半島の説明などをしていました。
また、雪舟の天橋立図が掲載された美術本を持参して、
笠松公園や、知恩寺へ到着する前に見て頂いたりしましたが、
お客様はとても興味深くご覧になられていました。
知恩寺へ行く際などは、その石地蔵はどこ?と
お客様にいち早く尋ねられたりすると、ガイド冥利に尽きますね。

最近はネットでも見ることができますので、
天橋立図、まだご覧になられていない新人ガイドさん、
一度見ておくと、感慨深いものがあると思いますし、
説明内容の幅も広がります。

雪舟といいますと、このような逸話も語り継がれています。
岡山県総社市にある宝福寺というお寺で小さな頃、
修行をしていましたが、雪舟が絵ばかり描いて修行に身が入らないので、
和尚様は、本堂の柱に縛り付けてしまいます。
一時が経ち、様子を見に行ってみると、
何と、自分が流した涙を足の指でなぞり、ネズミの絵を
描いているではありませんか、さらに、そのネズミの絵はまるで
生きているように素晴らしい絵だったので、それ以来、和尚様は、
決して絵を描くことを咎めなかったといいます。

室町時代、しかも水墨画の画家というと、難しく感じますが、
このような逸話を聞くと、とても身近に感じますね。
雪舟が生涯を終えた、島根県の益田市には現在、
「雪舟の郷記念館」があり、雪舟の筆になる作品も
見ることができるようですので、私もこちらはまだ行ったことがなく、
機会があれば訪ねてみたいと思います。
(2017.07.25)

 
 
   
 
 
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