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2018年01月のバックナンバー記事

成相寺に伝わる3つの伝説
皆さん、こんにちは。
毎日、寒い日が続いております。

今回は、以前ピックアップした天の橋立に関するお話Part2です。
Part1では、雪舟の天橋立図について主に記載いたしましたが、
今月は、西国巡礼第28番の札所の成相寺について取り上げます。

観光バスのコースでは、文殊側の大丸シーサイドさんや、
笠松公園側の松井物産さんなどが昼食場所になっていることが多いと思いますが、
笠松公園の場合は、やはり成相寺についてのご案内は欠かせません。

まず、成相寺というお寺は元々、雪舟の天橋立図にも描かれているように、
もっと高い、山の上にありました。
ですが、山崩れのため、現在の場所に移されました。
本堂は、今から約240年前の建物ですが、ご本尊は平安時代のものです。
ご本尊は、「美人観音」として知られる聖観世音菩薩で、
お参りをすれば、身も心も美しくなれる、と伝えられています。

このお寺の見どころは、たくさんあるのですが、
3つの伝説が伝えられておりますので、今回はそれをまとめてみます。

1.底なしの池

底なしの池は、山門を入って左手にあります。
この池は、昔から底なしだと言われ、大蛇が住んでいました。
その大蛇は、寺で修行をする僧を次々に呑み込んでいくので、
和尚さんが大蛇を退治するため、僧に見立てた藁人形を作り、
その中に火薬を詰めて、大蛇が呑み込むのを待っていました。
すると、いつものように、狙いを定めた大蛇がやってきて、
藁人形を呑み込みました。すると、中に詰めてある火薬が爆発し、
苦しむ大蛇は、坂を下り、火を消そうとしたのか、
ふもとにある国分寺の釣鐘をかぶり、海を渡り、
現在の文殊のあたりで息絶えたと言われています。


2.身代わり観音

昔々、ある一人の修行僧が、山のお寺に篭って修行をしておりましたところ、
その年の山は深い雪に覆われ、通りがかる人もなく、食べ物もなくなり、
まさに餓死寸前になってしまいます。
そこで僧は、ご本尊の観音様に、
「どうか、今日一日だけでも生きられるよう、食べ物をお恵み下さい」と祈ります。
すると、夢か現実か、外に1頭の鹿がたおれているではありませんか、
しかし、修行僧の身、戒律を破って肉を食する訳にはいかないと思いましたが、
このままでは命を落としてしまう、と鹿の腿を少しだけ鍋に入れ、煮て食べました、

その後、徐々に雪も止み、「これで生き永らえることができる」と
ご本尊様の前へ行くと、何とご本尊様の腿の部分が切り取られており、
昨夜、鹿肉を煮た鍋の中には、木屑が入っていました。
それを見た修行僧は、ご本尊の観音様が自分の身に変えて助けてくれたのだと知り、
鍋の中の木屑を拾い集め、観音様の腿を元通りにしたのでした。
やがて、このお寺は、願い事がかなう、なりあう寺、として
成相寺と呼ばれるようになったそうです。

3.撞かずの鐘

撞かずの鐘は、境内に入り、本堂に至る道の右側にあります。
慶長3年といいますから、1598年ですが、
成相寺では、釣鐘を作るため、付近の村から寄付集めを始めますが、
1件だけ、「うちにはお金などない、赤ん坊なら差し出せるが、とても寄付など
できるような生活ではありません」と寄付を断った家がありました。
その家のお嫁さんは、幼い子供が何人かに加え、小さな赤ん坊を抱えていました。

その後、釣鐘作りの鋳造作業が始まりましたが、
なぜか、何度やっても失敗するのです。
とうとう3度目、あの、寄付をしなかった家のお嫁さんも見ていましたところ、
よし、今度こそ完成させよう!、と皆、気合いを入れたその時、
お嫁さんが赤ん坊を誤って銅の坩堝の中に落としてしまったのです。
やがて不思議なことに、釣鐘は見事に完成、鐘楼に吊るされるのですが、
その鐘をつく度に、母親を恋しがる赤ん坊の泣き声が聞こえます。
そこで、可愛そうに思った村人は、以来、その鐘をつくことなく、
鐘楼を封じ込めてしまった、と伝えられています。

このように、ひとつのお寺に3つもの伝説は珍しいですね、
本堂の中には、左甚五郎作と伝えられる「真向の龍」まむきのりゅうがあり、
どこから見ても、龍と目が合うので不思議です。
みどころの多い成相寺、近年ではパワースポットとして注目されています。

写真は成相寺の本堂です。
クリックで拡大できます。
(2018.01.25)

 
 
   
 
 
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