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日本一小さなお庭?
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皆さん、こんにちは! 青葉も美しい初夏の今日この頃、気持ちの良い毎日ですね。 梅雨までの間、散策コースも人気の季節です。
さて、今回のテーマは「お庭」です。 庭園といえば、やはり京都が定番なのですが、 私は一時期、京都の定期観光バスに乗務していた経験があり、 たくさんのコースの中でも、お庭をメインにしたものは とっても人気がありました。
一般の観光ツアーでは、時間等の関係で、お庭を満喫する コースは少ないと思いますので、どうしても車窓からのご案内に なってしまいますが、例えば定番の金閣寺を出発した後、 もし、北大路通りを東へ進路をとる場合、 出発して間もなく左手に5本線のある築地塀が見えてきますのが 臨済宗大徳寺派大本山、大徳寺です。 敷地には、それぞれ趣と風情が感じられる20を超える塔頭が ありますが、一般公開されているのはいくつかの塔頭です。
その中で、お庭を楽しめる塔頭として、洛北の苔寺ともいわれる 龍源院さん、大徳寺山内で最も古いお寺であり、 能登の畠山義元、皆さんよくご存知の周防の大内義興、 そして、豊後の大友義親により創建されました。
龍源院さんでは、非常に赴きのある様々なお庭を鑑賞できますが、 北庭の龍吟庭(りょうぎんてい)、南庭の一枝坦(いっしだん)、 東の東滴壷(とうてきこ)、阿吽の石庭、滹沱底(こだてい)、 開祖堂前庭、の5つ、様式は枯山水です。
この5つのお庭の中で、日本一小さなお庭として、 東滴壷はあまりにも有名なのですが、広さはわずか4坪ほどです。 通常、お庭といいますと、広い庭園を見渡す、という風に 鑑賞するものですが、4坪といえば、見渡すのではなく、 見下ろす、という感覚です。 水が一滴、一滴と落ち、波紋が広がって大海になる様子が 表現されていますが、東滴壷という名前の由来になっています。 コツコツと精進を積めば、何事も成せる、との禅の教えですね。
何より、東滴壷は方丈と庫裏の建物の間に挟まれたところにあり、 お互いの屋根がほんの少しあいているため、冬になると、 お庭に雪が積もるのですが、これは、他では見られない光景です。
龍源院さんのお庭はそれぞれ、異なった味わいがあり、 私も、ぜひプライベートで訪ねたい!と思い、 以来、静かに過ごしたい時、時間を忘れてお庭を鑑賞しています。
また、お庭以外では、白蔵主(はくぞうす)の屏風も必見です。 白蔵主、皆さんは何だかご存知でしょうか? 新人ガイドさんは耳慣れない言葉かもしれませんが、 いわゆるキツネ、お稲荷さんなのですが、 大阪に伝わる有名なお話があります。 簡単にご説明しますと、少林寺というお寺に、白蔵主という お坊さんがいたのですが、ある時、3本足のキツネに出会い、 お寺に連れ帰って可愛がっていたところ、 お告げをしたり、以来、盗難に遭わなくなったり、 霊験あらたかなキツネだったとか、 そのキツネが、白蔵主に化けて、猟師の元に現れては、 殺生をしてはいけない、と諭すようになります。 ですが、猟師は白蔵主に姿を変えたキツネだと知って、 キツネは撃たれてしまいました。
そんなお話に出てくるキツネが化けた白蔵主を描いた絵を、 大阪に住む人が持っていたのですが、あまりに事業が上手く進まないため、 昭和35年、行者に相談したところ、もし、家にキツネを描いた屏風などがあれば、 そのキツネは修行中の身、もっと修行を積みたがっているので、 どこかの寺へ納めるように、と言われました。 そこで、京都でどこのお寺に納めるべきか、探していますと、 龍源院の前で足が止まって動かなくなったため、 時の住職に相談し、受け入れて頂いたとのことです。 ちなみに、その後は仕事も万事、上手く進み、 以来、平穏に暮らされたそうです。
京都は、金閣寺や清水寺など、定番の観光地はどこも人であふれ、 どこか静かに過ごせるお寺はないものか、と思っていらっしゃる方も 多いと思うのですが、この龍源院さんをはじめ、 私がこれまでプライベートで実際に訪ねてみて、 ここは静かに過ごせる場所だと感じた名所をいくつかピックアップ、 「バスガイドが選ぶ!ひたすら静かに過ごせる庭園」として ネット上で公開しております。 上記でご紹介した東滴壷や一枝坦の写真もあります。
勉強中のバスガイドさんにも、お役に立てるかもしれませんので、 よろしければ、こちらからご覧下さい。
(2018.04.26) |
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