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2019年06月のバックナンバー記事

華岡青洲の里
皆さん、こんにちは!今年は雨が多かったり、初夏といえども長らく気温が
低い地域もあり、各地それぞれに不安定なお天気が続いているようです。
そんな中、晴れ間を狙って、様々な場所へ出かけていますが、
お弁当代わりにと、よく買っていくのが柿の葉寿司です。
ドライブの車中でも気軽に食べられますし、日持ちもするので本当に便利です。

ところで、柿の葉寿司は、奈良県〜和歌山県にかけて流れる一級河川、
紀の川の上流地域が有数の柿の産地であるとともに、海から離れた地域ですので、
塩鯖を米の上に乗せ、柿の葉で包んで保存性を高めたもので、
古く、江戸時代に生まれたものだそうです。
※紀の川は、奈良県内で吉野川と呼ばれます。

ちなみに紀の川は、大阪から和歌山方面ですと、阪和自動車道の
和歌山JCT〜紀ノ川SAを通過後、すぐに紀ノ川を渡りますので、
有吉佐和子さんの小説「紀ノ川」でおなじみの・・・とのお話ができますね。
特筆すべきは、和歌山JCTより京奈和自動車道へ進路をとり、
紀の川東I.Cからほぼ10分くらいのところに「華岡青洲の里」があり、
やはり有吉佐和子さんの「華岡青洲の妻」という小説が
すぐに思い出されます。
近年では、2005年に谷原章介さん、和久井映見らの
キャストでNHKドラマにお目見えしましたので、
お客様の中には、覚えていらっしゃる方も多いかもしれません。

華岡青洲は、日本で初めて全身麻酔による乳がんの外科手術を
行った江戸時代後期の医師です。
和歌山県生まれの青洲は、1782年から3年間、京都で漢方医学を
学ぶと共に、オランダ医学にも興味を持ち、あらゆる書物に
目を通す内、西欧では乳がんの部分切除を行っていることを知り、
以来、全身麻酔による外科手術ができないものかと
中国のマンダラゲとトリカブトを用いて、研究を始めます。
ちなみに、華岡青洲の妹である於勝は乳がんで亡くなっています。

その後、華岡青洲が自分の母と妻の協力のもと、
およそ20年ほどの歳月をかけて研究したのが、通仙散(つうせんさん)という
麻酔薬で、1804年、ついに60歳の患者に
その通仙散を用いた全身麻酔による手術に成功しました。
欧米で全身麻酔が使われたのは、華岡青洲が手術に成功した
この年から何と40年以上あと、ということですから、
本当にすごいことですね。

なお、華岡青洲の里には、自宅兼診療所として「春林軒」と名付けられた
建物が残されており、青洲自身が考案したメスやハサミなど、
興味深い資料を見ることができますが、
青洲の手術成功後、全国からその医術を学ぼうと、
たくさんの門弟たちが春林軒に入りましたが、
診療所というよりも、それをはるかに超えて、まるで医学校のような
施設であったそうです。

ところで、華岡青洲が京都で漢方医学を学んだ際に師事したのは
吉益南涯(よしますなんがい)、南涯の父は吉益東洞(よしますとうどう)、
広島出身で、日本医学の礎を築いた名医でした。
吉益東洞、吉益南涯の墓所は、京都東福寺の荘厳院にあります。

華岡青洲の里は、仕事ではなかなかコースに入っていることは
ないかもしれませんが、訪ねる機会があると良いですね。
(2019.06.29)

 
 
   
 
 
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