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2023年04月のバックナンバー記事

日本三大瓦のひとつ「石州瓦」
皆さん、こんにちは!間もなくゴールデンウィークですが、
観光業もこれから最大限に復活してくれたら、と願う今日この頃です。
最近は爽やかな気分になれる海が見たいな〜と思っているのですが、
やはり山陰海岸など、良いかもしれません。

山陰地方でバスを走らせていると、必ずご紹介することのひとつが
赤い屋根の瓦、石州瓦ですね。
やはり私たちの場合、何といっても津和野でご案内することが
多いと思うのですが、それまでの道すがら、先にお客様から、
なぜ屋根瓦が赤いの?と質問されることもありますし、
どこでも気づけば、ご説明されていらっしゃるガイドさんも
多いかと思われます。

石州瓦は、愛知県の三州瓦、淡路島の淡路瓦とともに、
日本三大瓦のひとつで、最も生産量が多いのが三州瓦です。
三州瓦の種類の中でも「釉薬瓦」は陶質なので、
雨水などを通さない防水性に優れていることで有名です。
愛知県といえば常滑焼や瀬戸焼など焼物でも知られていますね。

淡路瓦は銀色のきれいな瓦ですが、
主に南あわじ市で生産されています。
防火性に優れていて、特に神社仏閣にも使われているため、
鬼瓦も多く作られています。

ちなみに三州瓦・淡路瓦・石州瓦ともに
粘土瓦ですが、淡路瓦はとても粒子が細かい土が
原料で、「なめ土」とも呼ばれます。

さて、本題の石州瓦ですが、
三大瓦の中で最も高い温度(1200度〜)で焼成することが可能で、
塩害・冷害に強いという利点は、
まさに山陰地方にうってつけの瓦ですね。
特筆すべきは高温で焼成される故の耐久性、
近年では瓦だけでなく、壁や床材としても大注目されています。

そして、なぜ石州瓦は赤いのか?についてですが、
石州瓦の釉薬には、奥出雲で産出される「来待石」が
使われているのですが、非常に多くの鉄分が含まれているため、
1200度以上の高温で焼成する際に赤くなります。

ところで、この石州瓦の美しさをたっぷりと堪能できるのが、
益田市にある、島根県芸術文化センター「グラントワ」です。
屋根・壁に、約28万枚ともいわれる石州瓦が
使用されているのですが、外観だけでも素晴らしいです。
内部は劇場やレストラン、ライブラリーもあります。

この建物を設計されたのは、建築家の内藤廣氏ですが、
東京ににお住まいの方はもちろん、
もし、東京へ行かれることがありましたら、
「紀尾井清堂」へも訪ねてみて下さい。

紀尾井清堂は、発注主から
「用途は後から考えるので、好きなように作って下さい」と
言われたそうで、建築家としての純粋なこだわりと工夫が
存分に見られる建物ではないかと思います。
また、壁や床材には、石州瓦の廃材を使われたとのこと、
ますます興味が沸いてきますね。

紀尾井清堂の外観
 ↓↓


そういえば近年、粉砕した石州瓦の廃材を
コンクリートに混ぜると強度が増すことがわかったため、
日本で初めて、山陰道の跨道橋などに使用したそうです。
山陰道は風雨はもちろん、さらに耐震性なども考慮すれば、
これから多くの橋梁などに使用されることも期待されます。

この跨道橋は小さいけれど、
何といっても日本初の試みですので注目しましょう。
場所は、山陰道を東向き、石見三隅ICを過ぎて、
2〜3km走ると、左に海が見えてきます。
海が見えたら前方注意!跨道橋が見えます。
この跨道橋の主桁部分に石州瓦の廃材を細かく砕いた物を
コンクリートに混ぜて使用したそうです。
主桁というのは道路の下の、両側の斜めの部分を含めた、
支えの部分です。
廃材ですので捨てずに役立てるリサイクルにもなります。


(2023.04.24)

 
 
   
 
 
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