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2025年03月のバックナンバー記事

「藤ノ木古墳」の石室が公開されます!
皆さん、こんにちは。
春を迎え、新しいことを始める方も多くなる季節ですね。ここ最近は奈良に関するコラムが多いのですが、
ポカポカ陽気の日にはベンチでの読書も良いかなと思い、新しい本を読み始めました。「奈良県 謎解き散歩」という本です。
タイトルとキャッチコピーに心惹かれて購入したのですが、なかなか面白いです。
奈良の歴史は興味深く、ガイドの皆さんには楽しくお読みいただけると思いますのでおすすめです。

さて、今年の春5月に「藤ノ木古墳」の石室が公開されます。
2025年5月24日(土)と25日(日)の2日間です。
通常はガラスの向こうに見るだけなのですが、公開時は中まで入って見ることができますが、
一応、入室前に少し古墳の説明がされるようです。
短い時間ではあるのですが、私はぜひ一度、行ってみたいと思っています。

ちなみに、藤ノ木古墳が作られたのは6世紀後半で、直径が48メートル、高さが9メートルの円墳です。
上空から撮影された写真を見ると、本当に真円なので不思議な感じがしますが、
藤ノ木古墳がある場所は、法隆寺から約350メートルほどの西側にあります。

藤ノ木古墳が作られた後、約20年くらい先に法隆寺が創建されていますので、
聖徳太子は、藤ノ木古墳に葬られた人物をよく知っていたのではないでしょうか?

この古墳の調査は1985年から始まったのですが、
何より完全なる「未盗掘」状態で発見されましたため、世界中から注目が集まりました。
最先端のファイバースコープを使用しての調査なども行われて中継もされたようです。

石室内で見つかった石棺は家形、(上部の蓋が屋根のような形をしている) 全体に朱塗りが施されていました。
なぜ朱塗りなのかについては、魔除けの意味や権力の象徴とも言われています。
当時は、亡くなると黄泉の国へ旅立つという考え方があったと考えられていて、
安全に長生きできるように、との願いも込められていたのかもしれません。

さて、藤ノ木古墳の調査が本格的になると、ついに石棺の蓋が開けられました。
世界が固唾を呑んで見守っていたと思いますが、驚くような結果が待っていました。
中から見つかったのは、2名の人骨のほか、絢爛豪華な馬具、装飾品、1万個を超える大量のガラス玉、
そして冠や靴、刀剣などもありました。
まるでタイムカプセルのようでもありますが、1400年もの長い年月を経て、
完全に未盗掘であったことが本当に信じられません。

ところで埋葬者についてですが、石棺内から見つかった装飾品などから、
王族級に属する人物であろうと考えられますが、未だ確定はしていません。
いろいろな説がありますが、私個人としては、穴穂部皇子(あなほべのみこ)と宅部皇子(やかべのみこ)
だとする説を推したいです。

穴穂部皇子は、欽明天皇の皇子で、聖徳太子の叔父にあたります。
推古天皇は、兄の敏達天皇の妃ですので、義姉ということになります。
当時、穴穂部皇子は皇位を望んでいましたが、蘇我馬子が推す中大兄皇子が用明天皇として即位すると、
物部守屋と組んで結託するようになります。
しかし後に皇位争いが大きくなり、穴穂部皇子は暗殺されてしまうのですが、
翌日、仲が良かった宅部皇子も殺されてしまいました。
※穴穂部皇子の弟とも言われています。

藤ノ木古墳の石室にあった2体の人骨、当初は男女とされていましたが、
後の調査で男性2人と発表されましたこと、見つかった装飾品が皇族クラスのものであることなどから
古墳が作られた時期についても一致していますし、やはり穴穂部皇子と宅部皇子なのでは・・・?

ちなみに2人の男性はともにB型の血液型であったそうです。
また、どちらの被葬者も身長が165cm程度あり、当時としては非常に高かったのではないかと思われます。
推定年齢は17歳〜25歳で若く、足に脱臼した痕跡があり、落馬したのかもしれず、
多少歩行が困難であったかもしれないとのことです。
もう一人の被葬者については、もう少し年上であろうとのこと、ガッチリ体型だったそうですが、
女性である可能性もあるのでしょうか・・?

いずれにしても、この古墳の発見により、それまでわからなかったことが判明したり、
考古学的に非常に貴重な資料となったことは間違いなく、
見つかった馬具や靴などの復元物を見たのですが、金色に輝く絢爛豪華なものでした。
下記のリンクより復元された靴と冠をご覧いただけます。


金銅製の靴(復元) 出典:文化遺産オンライン



金銅製の冠(復元) 出典:文化遺産オンライン



藤ノ木古墳
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(2025.03.28)

 
 
   
 
 
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