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| 行基 ― 国を変えた奈良時代の“行動する僧”
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皆さん、こんにちは。
少しずつ涼しくなってきていますが、私はまだ半袖で過ごしている日も多い今日この頃です。
本当に秋はやってくるのか、近年は突如として寒くなるので注意が必要ですね。
さて、今回は奈良時代のお話です。
奈良時代、仏教が国家の大きな柱として扱われるようになった頃、一人の僧が日本の歴史を大きく動かしました。
その名は 行基（ぎょうき）といいます。
バスガイド教本にも幾度となく、この名前が登場していて、どんな人だったのだろう？と
思った方も多いのではないでしょうか。
近代でいうところの公共事業家、にも匹敵するほどの規模で、橋や道路、ため池を作っていますよね、
さらに、貧しい人々を救う社会活動を行った、いわば実践、また実践の僧といっても良いかもしれません。
特に聖武天皇の時代には、ついに仏教界で最高位となる「大僧正」に任ぜられ、
東大寺・大仏造立の中心人物として不動の名を残しています。
しかし行基の人生は、決して最初から国家に認められていたわけではなく、
むしろ若いころの行基は、国家の規制を破る「異端の僧」とさえ見られていたようです。
行基は 668年頃、河内国（現在の大阪府東部）に生まれました。
若い頃から優れた学僧で、法相宗について深く学んだといわれていますが、
彼の活動の中心となったのは学問ではなく、民衆の救済と社会の整備であったそうです。
当時、僧侶が民衆の前で説法を行うことは国家の方針で禁止されていましたが、
行基は、寺から出て村々を歩き、民衆に仏教をわかりやすい言葉で伝えました。
そして、人々が苦しむ現場に足を運び、橋がない場所には橋を、川が氾濫する場所にはため池を、
危険な道には安全な道を整備しました。
自分の足で歩いて、今でいう「インフラ整備」を行っていたなんて、本当にすごいですよね。
行基が行った仕事の中で、有名なものに大阪の狭山池があります。
狭山池は、現存する日本最古級のダム式ため池で、行基が改修に関わったとされています。
また、灌漑用水の整備、堤防の建設、橋・道路の建設、
そして貧しい人々を救済するための施設づくり、と行基は社会の弱者に寄り添って、
社会活動と宗教活動を一体化させました。
そんな中、国家は当初より、行基を「敵視」していたといわれ、
これほどの慈善活動をした行基ですが、朝廷から厳しい監視を受けていたようです。
それは、行基の人気があまりに大きすぎて、もはや、一つの勢力になりつつあったためでしょう。
それでも行基は活動を止めませんでした。
やがて時代が変わり、聖武天皇が「大仏造立」を行基に託したのです！
行基の転機は、聖武天皇との出会いであったでしょう。
奈良時代は、疫病・飢饉・地震・反乱が相次いで、日本全体が大きな不安に包まれていた頃です。
その中で聖武天皇は、「大仏を造って国をひとつにまとめたい」と願って、巨大事業を計画しました。
しかし、当時の国家権力だけでは、大仏造立のための資材・資金・労働者を集められません。
そこで必要とされたのが、行基の民衆からの絶大な信頼感だったのです。
行基は大仏造立の勧進（寄付や協力の呼びかけ）を担当して、
その結果、全国から大量の材木、金銅、技術者、労働力も集まりました。
現在、行基の協力なくして、東大寺・大仏の完成はあり得なかったと伝えられています。
この功績が認められ、行基は 日本の僧侶ではじめて「大僧正」に任じられたのです。
行基の思想というのは、「苦しむ人を助け、共に生きる」 ということでしたので、
彼は死ぬまで全国を歩き、人々の中に入り、悩みを聞き、工事現場の泥にもまみれ、
自ら人々の生活を変えていきました。
まるで、現代でいえば社会福祉・公共事業・災害対策大臣ですね。
行基は 749年、80歳を超える高齢で没したと伝えられています。
行基を祀る寺院は近畿地方を中心に多く、「行基さん」として親しみを込めて信仰されています。
観光地で行基の名を見るとき、
彼の残した道や池、橋は、今も静かに息づいていますね。
バスガイド教本にあれだけ幾度も登場する行基、そして弘法大師もそうですよね、
こんなに凄い人だったと、尊敬せずにはいられません。
大阪 狭山池
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（2025.10.27） |
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