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2026年03月のバックナンバー記事

お彼岸と菜の花

皆さん、こんにちは!3月も下旬になりましたね。
まだ朝晩は冷えることがありますが、日中の陽射しがずいぶんと柔らかくなってきて、
「ああ、春がやってきたんだな」とほっとする季節です。

梅の花が見頃を終えた頃、今度は桃の花がちらほらと咲き始め、
そしてもうしばらくすると、いよいよ桜の便りが届きます。
この時期は、次々と花のバトンが渡されていくようで、
車窓からの景色を眺めているだけでも、なんとなく心が浮き立ってきます。

バスガイドの仕事において、3月は1年の中でもとりわけ忙しい時期のひとつです。
卒業旅行、年度末の職場旅行、そして桜の開花を見越した花見ツアーの下見と、
何かとバタバタしていた記憶があります。

特に桜のツアーは、開花予報とにらめっこしながらのご案内になりますので、
毎年この時期になると、桜の名所の開花情報が気になって仕方がありませんでした。
「今年は早いですよ」「いや、もう少し後ではないか」と、
ドライバーさんと車内で話し合いながら、ルートの最終確認をしていたことが懐かしいです。

さて、3月といえばやはり「お彼岸」の話題は外せません。
春のお彼岸は、毎年3月の春分の日(2025年は3月20日)を中日として、
前後3日間、合計7日間にわたります。
「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉があるように、彼岸を境に本格的な春が訪れるとされており、
古くから日本人にとって特別な節目の時期とされてきました。

「彼岸(ひがん)」とは、仏教でいう「悟りの世界」のことで、
私たちが生きているこちら側を「此岸(しがん)」といいます。
春分・秋分の日は太陽が真東から昇って真西に沈むため、
彼岸(西方の浄土)と此岸(東の現世)が最も近くなる日と考えられ、
先祖を供養する期間として定着したといわれています。

ところで、お彼岸にいただくお供え物といえば「ぼたもち」ですね。
秋のお彼岸では「おはぎ」と呼ばれるものと、実は同じものです。
春は牡丹の花が咲く季節にちなんで「ぼたもち(牡丹餅)」、
秋は萩の花が咲く季節にちなんで「おはぎ(お萩)」と呼び名が変わるという、
なんとも風雅な使い分けですね。
お客様に「実は同じものなんですよ」とお話しすると、
「知らなかった!」と喜んでいただけることが多い、定番のひと口話です。

そして、春のお彼岸の頃に見頃を迎える花として、水仙や菜の花も見逃せません。
菜の花畑の広がる景色は、遠くから眺めると一面が黄色く染まって、まるで絵のようです。
千葉の房総半島や、淡路島の菜の花、三重の奥志摩など、各地に名所がありますが、
バスの車窓からふと菜の花畑が見えたとき、お客様から「わあっ」と声が上がる瞬間は、
何度経験しても気持ちの良いものでした。

菜の花は「アブラナ」とも呼ばれ、古来より油をとるための植物として栽培されてきました。
万葉集にも詠まれており、日本では奈良時代頃から栽培が始まっていたとされています。
春の七草のひとつ「なずな」もアブラナ科の植物で、こうして季節ごとの花や植物が
歴史や文化とつながっているのが、日本の自然の面白いところだと思います。

浜離宮恩賜庭園の菜の花
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さて、3月のもうひとつの話題として、「ひなまつり」を取り上げたいと思います。
3月3日の桃の節句ですね。女の子の健やかな成長を願う行事として広く親しまれていますが、
その起源は平安時代の「流し雛(ながしびな)」にあるとされています。

紙で作った人形(ひとがた)に自分の穢れや厄を移して川に流す、という風習が元になっており、
これが江戸時代以降に豪華なひな人形を飾る形へと変化していったといわれています。
流し雛の風習は今も各地に残っており、京都の下鴨神社では毎年3月3日に流し雛の神事が行われます。

また、鳥取県の用瀬(もちがせ)町の流し雛は国の重要無形民俗文化財にも指定されており、
千代川に白い小舟に乗せた素朴なひとがたを流す光景は、古の平安をしのばせるものがあります。
こうした伝統行事が今も続いていることは、本当に大切なことだと思いますし、
ツアーで近くを通る際にご紹介できると、旅の深みが増しますね。

ところで、3月は旅立ちの季節でもあります。
卒業、転勤、引越し。別れと出会いが交錯するこの時期は、なんとなくセンチメンタルな気持ちになりますが、
それと同時に、新しい何かへの期待感もあって、空気そのものが少し違って感じられます。

バスガイドとして多くのお客様と出会いました中で、
「これが最後の旅行になるかもしれない」とおっしゃったお客様もいらっしゃいましたし、
「今日から新しい生活が始まります」と笑顔でご乗車されたお客様も、
みなさんそれぞれの春を迎えていらっしゃいました。

そのひとりひとりの旅のお供ができたことを、今でも誇りに思いますし、
この仕事をしていて良かったと感じる瞬間のひとつです。
春は別れであると同時に、始まりの季節でもあります。
どうか皆さん、新しい季節を元気に、そして楽しんでお迎えください。

建長寺の満開の桜
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(2026.03.27)

 
 
   
 
 
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